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技能実習制度のメリット・デメリットは?

外国人技能実習制度により日本が技能実習生を受け入れるようになってから今年で6年目となりました。そして、2年前の2019年には新たな在留資格である特定技能がスタートしました。
「技能実習」と「特定技能」それぞれの制度の違いや特徴について気になっている方も多いと思いますが、今回は技能実習制度にクローズアップし、受け入れる側としてのメリット・デメリットを解説していきます。
また、制度の違いや特徴は、それぞれの目的を知ることで理解しやすくなります。まずは、技能実習制度と特定技能制度の目的をご紹介します。

技能実習制度の目的

外国人技能実習制度は2016年11月に公布され、翌年11月に施行された制度です。開発途上国等から来日した外国人実習生に、日本の技能や技術、知識を教え、帰国後、実習生が習得した技能などを母国に広く伝えることで経済発展に寄与することを目的にしています。

特定技能制度の目的

技能実習が開発途上国等への国際貢献を目的にするのに対し、特定技能は日本国内における人手不足の解消を目的にしています。
特に人材不足が深刻な介護業界をはじめ、14の特定産業分野で導入されています。

技能実習制度のメリットとは?

国際貢献を目的にスタートした技能実習制度。受け入れる企業にとって次に挙げる3つのメリットがあると考えられます。

メリット1 対象職種が幅広くさまざまな企業が利用できる

技能実習制度では、技能実習1号、2号、3号まで段階的に設定されています。最初の段階である技能実習1号では原則的に対象職種の制限がありません。
発展途上国等への技能、技術、または知識の移転、経済発展に寄与するものであれば、原則どんな産業分野も認められるため、幅広い企業が技能実習制度を利用できることは大きなメリットです。ただし、技能実習2号、3号では対象職種が定められています。そのため、技能実習1号での職種が2号で認められていなければ移行することができません。
ちなみに、移行対象職種は令和4年4月現在で86職種あり、業務内容も158作業と非常に細かく分類されています。技能実習の場合、あくまで技能を習得してもらうことによる国際貢献が目的のため、単純作業などでは認められないことがあります。受け入れを検討する場合には業務内容の事前の確認が必要です。

メリット2 一定期間、安定的に人材が確保できる

国際貢献が目的ではあるものの、企業側にとって3〜5年間という一定期間、意識の高い技能実習生の力を借りられることは大きなメリットといえます。
就労が目的の特定技能とは異なり、技能実習制度では在留の目的はあくまで実習です。
そのためそもそも転職という概念が存在せず、企業側は安定した人材の確保ができるということになります。もちろん実習生は所属先の企業が倒産してしまった場合や、技能実習2号から3号へ移行する場合には転籍という形で別の会社で働くことが可能です。
特に人材不足が深刻な業界では、外国人技能実習制度を活用することで社内を活性化させ、利益向上に結び付かせている企業もたくさんあります。
ただ、大前提として技能実習制度の目的が国際貢献であることを忘れてはいけません。技能実習生、受け入れ企業の双方にとってメリットが生まれる環境をつくることが欠かせません。

<技能実習生の期間>

・技能実習1号:1年
・技能実習2号:2年
・技能実習3号:2年

技能実習は1号から3号まで移行することができ、最長5年間在留することができます。
ただし、移行には実習生が技能評価試験を受け、合格することが条件となります。

メリット3 社内が活性化する

外国人技能実習生は「技術や知識を習得したい」という熱い情熱と高い目的意識を持っている人がほとんどです。外国人技能実習生を受け入れることで、もともといる日本人従業員のモチベーションがアップしたという声もよく聞かれます。
外国人実習生を受け入れるにあたって、業務のフローや組織のあり方を改めて見直し、実習生はもとより日本人スタッフにとっても働きやすい環境が整備されたという企業もあるようです。また、ある程度まとまった期間一緒に働けるため、信頼関係を構築しやすいというメリットもあります。
新しい人材の獲得は、これまでの体制を見直し、労働環境や従業員同士の風通しの良い会社となる絶好のチャンスともいえるでしょう。

技能実習制度のデメリットとは?

技能実習生を受け入れることの注意点はどんなことがあるのでしょうか。3つを例として解説していきます。

デメリット1 受け入れ人数に制限がある

技能実習生に技能を伝えていくためには、受け入れ側にも相応の育成・指導環境が必要となります。そのため、技能実習生は受け入れ人数に制限があり、基本人数枠内でしか受け入れることはできません。基本の人数枠は受け入れ企業(実習実施者)の常勤職員数の総数によって決められます。
自社の場合にはどれぐらいの受け入れが可能なのか、検討時に必ず確認するようにしましょう。

デメリット2 技能水準や日本語能力に乏しいケースもある

一定の技能や日本語能力が条件となる特定技能とは異なり、介護職を除く外国人技能実習生には技能水準や入国時の試験などの義務付けはありません。
数ヶ月間、日本語を学ぶものの、日本語を十分に理解できるまでにはもちろん足りません。そのため、思いのほか「教えることが多かった」「コミュニケーションが大変だった」ということがあるかもしれません。
特にコミュニケーションの問題は、母国を離れて働く技能実習生にとっても不安に感じる点です。
受け入れ企業はあらかじめ実習生の状況を理解し、仕事の技能を教えることに加え、日本の習慣や語学といったコミュニケーションの面でも十分な配慮やバックアップが必要となります。

デメリット3 受け入れまでに外部コストがかかる

技能実習生を受け入れる際には、海外の送り出し機関を通して実習生の人選や面談、事前研修をおこないます。面談は以前は現地でおこなわれることが主流でしたが、コロナの影響があり現在ではほとんどオンラインでおこなわれているようです。

受け入れは企業単独でおこなうこともできますが、送り出し機関との契約をはじめ技能実習計画の作成、在留資格の申請などさまざまな書類の作成や申請をすることとなります。それらの煩雑さもあって、多くの企業では監理団体に人選から入国後のサポートまで依頼しています。企業と実習生の間に入る団体が多くなる分、コストがかかることになります。

技能実習制度のメリット・デメリットまとめ

技能実習制度の3つのメリット、3つのデメリットを紹介しました。
技能実習2号、3号を見据えて採用を検討したい場合には、まず自社の業界と業務内容が対象職種にあてはまるかどうかを確認しましょう。
外国人技能実習生の受け入れは、日本人の採用とはまた違った大変さもあります。ですが、熱意あふれる実習生は自社に新たな風を吹き込んでくれる貴重な存在ともいえます。外国人実習生、受け入れ企業が互いにwin・winとなる環境を構築できれば業績の向上にもつながるでしょう!

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