2024.10.09
特定技能外国人をサポートする 「登録支援機関」とは?
企業が特定技能1号の外国人労働者を受け入れるためには、彼らに対し、仕事上はもちろん日常生活を送る上での様々な支援を国から義務付けられていることをご存知でしょうか?
サポートをする上で頼りになるのが「登録支援機関」です。特定技能外国人の受け入れを検討しているのであれば、登録支援機構について知っておくことは必須といえます。今回はこの登録支援機構とは何か、その役割や業務について紹介します。
登録支援機関とは
登録支援機関とは、特定技能外国人の方を受け入れる企業からの委託を受けて、在留中の支援計画の作成や実際の支援をおこなう機関です。つまり、受け入れ企業に代わって特定技能外国人の方へのサポートをおこなう機関といえます。特定支援機関は、業界団体や社労士、民間の法人、行政書士などの団体はもちろん、個人の場合もあります。
国から義務付けられている支援の内容は専門的な項目が多く、特定技能外国人の母国語での対応が基本です。通訳を介することも可能ですが、受け入れ企業が自ら支援をするには難しいケースも多々あります。
そのため多くの受け入れ企業では、支援体制を整えるために支援のすべて、あるいは一部を登録支援機関に委託しています。委託ですので、支援にかかるコストは、1号特定技能外国人労働者を雇用する会社などが負担します。
特定技能外国人に対する支援
特定技能外国人への支援には、「義務的支援」と「任意的支援」の2種類があります。義務的支援が必ずおこなうべき支援の一方で、任意的支援は必須ではありません。しかし、特定技能外国人の方々が安心して日本で働くための義務的支援の補助として、任意的支援もできる限りおこなうことが求められています。
■義務的支援の内容
国が定めた特定技能外国人に対する義務的支援の内容は以下の10項目です。
①事前ガイダンス
特定技能外国人と受け入れ企業との間で雇用契約を結んだあと、在留資格申請を行う前の段階で、業務内容や報酬額などの労働条件をはじめ、日本での活動内容、在留資格証明書の受け取りから入国手続きの方法、保証金徴収の有無、公私の生活に関する相談・苦情受付け体制など、日本での仕事や生活で困ることがないように事前に説明をすることが義務付けられています。
事前ガイダンスは、外国人が十分に理解できる言語を用いておこなわなければなりません。また、文書やメールの送信だけで済ますことは許されず、対面やビデオ通話など本人を確認できる方法でおこなう必要があります。
②出入国する際の送迎
入国時には空港や港で出迎え、事業所や住居まで送迎をします。帰国時には空港や港の保安検査場までの送迎、同行が義務付けられています。
③住居確保・生活に必要な契約支援
入国時や転居が必要になった際には、特定技能外国人の希望に基づいて住居確保のための支援をおこないます。賃貸物件に関する情報提供はもちろん、必要に応じて同行し、住居探しを手伝います。
また、必要であれば受け入れ企業、あるいは登録支援機関が連帯保証人になったり、社宅を提供するなどの支援も必要です。そのほか、銀行口座等の開設、携帯電話やライフラインの契約等を案内したり、それぞれの手続きの補助もおこないます。
④生活オリエンテーション
日本で生活する上でのルールやマナー、方法などを説明します。その内容は、金融機関や医療機関、交通機関の利用方法や連絡先はもちろん、国・行政機関への届出・手続き、生活必需品などの購入方法、防犯対策、緊急時・災害時の対応、注意すべき違法行為の例などまで多岐にわたります。わかりやすく丁寧に説明する必要があります。労働に関する法令違反への対応なども伝えます。
⑤公的手続等への同行
国・行政機関への届出・手続きについては必要に応じて実際に窓口に同行して書類作成を補助するなどのサポートもします。
⑥日本語学習の機会の提供
日本語教室等の入学案内や日本語学習教材の情報提供等をおこないます。その際、本人の希望に配慮し、過度な学習費用が発生しないように留意します。
⑦相談・苦情への対応
特定技能外国人から仕事や日常生活に関する相談、職場や生活上の相談、苦情等についての話があった時には外国人が理解できる言葉で適切に対応し、助言や指導をおこないます。必要であれば公的な相談内容を案内し、手続きのサポートもおこないます。
相談や苦情に柔軟に対応できるよう、1週間のなかで勤務日のうち3日以上、休日のうち1日以上、夜間にもメール対応できるようにするなど、体制の整備も必要です。また、登録支援機関は相談・苦情の内容、公的機関への通報内容などについて記録し、定期届出の際に記載します。
⑧日本人との交流促進
日本人との交流を促す機会として、自治会等の交流の場や地域のお祭りなどの行事の案内、参加のサポートなどをおこないます。
⑨転職支援(人員整理等の場合)
受け入れ側の都合により雇用契約を解除する場合には、転職先を探す手伝いや推薦状の作成、求職活動をおこなうための有給休暇の付与や必要な行政手続きの情報提供をおこなう必要があります。支援実施状況に関する定期届出におこなった支援の内容を記載します。
⑩定期的な面談・行政機関への通報
支援責任者または支援担当者は、特定技能外国人やその上司にあたる人と3か月に1回以上、定期的に直接面談をする必要があります。面談のなかで出入国法令や労働法令に違反するとわかった場合、関係当局へ通報する義務があります。
登録支援機関まとめ
登録支援機関は、特定技能外国人が日本でスムーズに社会生活を送り、仕事をしてもらうための計画書を作成し、具体的なサポートを実施する機関だということを解説しました。
受け入れ先の企業が直接おこなうこともできますが、外国人の直接の上長などがその役割を担うことはできないなどの条件もあり、現実には難しいところです。